これまで行われてきたプロジェクト

学内だけでなく、米国NIH、エモリー大学、ピッツバーグ大学、京都薬科大学、聖
マリアンナ医科大学、北海道大学、東京大学、長崎大学などと新薬開発を行ってい
ます。また国内外企業との共同研究も進めております。これまでの創薬とは異なる
新しい学術領域の基盤形成を目指しています。また、がんウイルスに対する治療薬
開発も手掛けています。


東北メディカル・メガバンク機構での共同研究
1. CMV/EBVの疫学解析
モデルナ社と国際産学連携研究で解析を進めています。東北大学には12万人分のサンプルがあり、年齢別にランダム抽出し、抗体保有率から感染時期を解析しています。日本においても欧米同様に抗体獲得時期(初感染時期)が遅れてきていることを学会報告していますが、現在、論文を準備しています。

2. 他のウイルスの公衆衛生学的解析
上記に加えて他のウイルスでも解析を準備しています。


多剤耐性菌・耐性ウイルスに対する治療薬の開発
1. 独自のスクリーニング
独自に開発したhigh-through putだけにとどまらない、指数的に高感度かつ容易に活性を検出することに成功しました。使用する薬剤もごく少量です。構造活性相関でも、これまで見逃されてきた薬剤を複数見出し、新たな合成展開の知見だけでなく、いくつかの有望なリードを見出してきています。
当研究室では耐性を有する臨床分離株を多数、揃えており、研究体制は万全です。


抗ウイルス剤の開発
1. 核酸系逆転写酵素阻害剤
DNA合成に必要な、4つのヌクレオチドによく似た構造を持つ核酸系逆転写酵素阻害剤(nucleosidereverse transcriptase inhibitor, NRTI)の開発を行っています。NRTIはDNA合成に必要な3'-OHを持っておらず、DNA鎖に取り込まれるとその合成を阻害します。
我々はこれまでのNRTIの常識 (3'-OH欠失) をくつがえす新薬(EFdA)
を開発しました (J. Biol. Chem.2009)。この薬剤はがんウイルスにも効
果を示すことを報告しています (Nucleic Acids Res.2011)。

2012年、Merck社にライセンシング、2026年臨床応用されています。

J Biol Chem2009から引用
HIVの侵入を阻止する薬剤(Int. J. Biochem. Cell Biol.2009,  J. Biol. Chem.2010)や新しいターゲットとしてのRevなどのHIVアクセサリー遺伝子に注目して薬剤開発を進めています(Int. J. Biochem. CellBiol.2010)。動物での効果も検討しています(Biochem. Biophys. Res. Commun.2012)。

2. 抗HIV剤(インテグレース阻害剤)
京都大学在籍中に日本たばこと共同開発した抗HIV剤(J Med
Chem
2006,  J Virol2008)は、2012年8月に米国FDAから承
認され、臨床で使われる様になりました。この薬剤の剤型は他の
薬剤との合剤であり、1日1回たったの1錠でHIV感染症の治療を
世界で初めて可能としたものになっています。国内でも2013年
3月に認可されました。また、2016年7月からGenvoya配合剤と
しても売り出されています。継続研究でJ Virol 2022も報告し
ています。

 

3. 抗インフルエンザ剤
インフルエンザウイルスの治療薬を開発しています(AMED-CREST支援)。新しいトリプシンを用いない
アッセイ系を確立して(論文投稿中)、これまでのアッセイ系では見出せなかった候補薬を探索中です。


4. 抗ヘルペス剤
ヘルペスウイルスの治療薬開発(AMED-CREST支援)では不死化角膜細胞を用いて動物試験を回避できる
方法を開発しました(2026年論文#9)。眼ヘルペスウイルス感染症を模した動物を用いない系は画期的
です。


4. 抗RSV剤
RSVはこれまで小児の感染症と思われてきましたが、最近の研究で高齢者でも大きな問題になることが明
らかになってきました。抗原診断も高齢者では保険適応がされておらず、これまで過小評価されてきたと
思われます。ワクチンが近年開発されてきましたが、接種率が低いこと、ワクチンでの感染防御も完全で
はないため、治療薬は喫緊の課題です。


抗がん剤の開発
1.ウイルス発がん治療薬
EBウイルスによってがん化した細胞を特異に排除する治療薬を聖マリアンナ医科大学・東京科学大学と共に開発しています。特に慢性活動性EBV感染症に効果を示します。現在の唯一の治療法としての血液幹細胞移植(骨髄移植)に頼らない治療を目指します。平成26年度から医薬品として使用できるか、安全性試験を開始しており、マウス、ラット、サルで安全性を確認しました。平成26年度と28年度は、それぞれ文科省とAMEDの大型予算、橋渡し研究加速ネットワーク事業に採択されています。平成29年度からはAMED「革新的がん医療実用化研究事業」に採択されました。

その他
1. レトロウイルス薬剤耐性
容易に獲得されるHIV薬剤耐性を、分子生物学的に解明しています。特に逆転写酵素阻害剤の耐性機序(Int. J. Biochem. Cell Biol.2009)や侵入阻害剤の耐性機序(J. Biol. Chem.2009, J. Mol. Biol.2009,  J. Biol. Chem.2010)に関して行っています。

臨床分離HIVの耐性機序の解明も行っており逆転写酵素のこれまで耐性に関わってこないと考えられていた領域におこるN348I変異が多剤耐性に関与することを報告しています。(J. Virol.2008,  Antiviral Res.2009,  J. Biol. Chem.2010)。他の変異も見出しています(PLoS One, 2011,  J. Biol. Chem.2012)

2. その他の抗ウイルス剤の開発
まだ詳しくは書けませんが、最近話題のウイルスに対する抗ウイルス剤の開発も始めています。MTAを結んでのアウトソーシングにも対応します。いろいろな条件に応じますので詳しくはご連絡ください。秘密は完全に守りますので、企業からのスクリーニングのみなど、ご相談にのります。